スタッフのまさです。
ジックジャパンに新しい仲間が増えました。
イベントなどで見かけた人もいるかと思いますが、ジックジャパンのスタッフとしてドイツから、ピーターが加わりました。
デザインを主軸にBMXブランドやその他のバイクカンパニーで20年以上働いてきた経験と、34年間もプレイしているスケートボードなどのカルチャーを通じ、日本へ移住してきて思うことや、これからのことなどを聞いてきました。
彼自身のウェブサイトもあって、今までの仕事っぷりも見れちゃうので、全文読む前にチェックしてみても面白いかと思います。
https://menschlabor.info/work/
写真以下より、M = Masa , P = Peter.
日本はまるでクロワッサンのようで、幾重ものレイヤーをどこまでも味わい続けることができる。
M : 簡単な自己紹介と、日本にいる訳を教えて。
P : えーはじめまして、僕はドイツから来ました、Peter Keller(ピーター・ケラー)です。
年齢は47歳で、スケボー歴は34年です。
えー、なぜ僕が日本にいるか。
あれは2000年初頭かな、その昔DragonflyというBMXブランドのデザイナーとして働いてて、その時すでにJykKが日本の代理店として動いていたのもあって、直接会ったことはなかったけど社長のKenとはお互いの存在を認識だけはしていたんだ。
でもそれから16年が経って、自転車旅行をするため日本に来た時にようやく会うことが出来たんだ。
その時はKenが助けてくれたり、倉庫へ遊びに来たりしたんだ。
それが初めての日本だったけど、2,3日もいれば全てが見慣れた景色に見えてきて、最初から僕に合ってたというか、カルチャーショックみたいなものはあまり感じなかったんだ、もちろん良い意味でね。
それからドイツへ帰っても連絡を取り合って、一緒に仕事をしようっていうアイディアを発展させていってお互い協力し合うようになったんだ。
2018年に日本に戻って来た時から全てが本格的に動き出したんだ。
M : 仕事について少しだけ教えて
P : 20年以上自転車業界に携わってきてはいるけど、中でもデザインや製品開発、コンセプトの仕事が僕の主翼になるんだ。
自転車のデザインをするという事は自転車についての深い知識を持っている必要がある訳だけど、僕は幸いなことにMankindの仕事で台湾に何度も訪れていたり、Suicycle(スーサイクル)というバイクカンパニーも共同経営してたことがあるし、自転車業界に携わる1人の人間として数々の仕事をこなしてきたのもあって、世界をより良いものとするアイディアを形にすることができると思うんだ。
そして僕がもっと機能的で最高にクールなものを作り続けていけば、環境汚染の元になる車とかよりももっと、みんなが自転車に魅力を感じてくれると思うんだ。
M : デザイナーとしての自分を何かに例えるなら?
P : スイスアーミーナイフとでも言うべきかな。っていうのは、ウェブデザイン、コーディング、広告、印刷、オンラインメディア、カウンセリング、製品開発、製品デザイン、写真、ビデオ撮影、編集、ポストプロダクションなど、実に幅広い分野に携わっているよ。
お金の為ではなく、この言葉が正しいのかは分からないけど、大義の為にやっているんだ。もしお金の為だったら僕はここにいないし、何年も続けていないと思う。
M : 世界を相手に20年以上自転車業界に携わっている訳だけど、日本のシーンについてはどう思う?
P : 日本のフラットランドはずっと昔から最強だよね、もちろん今も変わらず。
でも結局アンダーグラウンドな感じはする。大きくメディアで取り上げられることが少ないというか。
スノーボードを筆頭にサーフィンやスケボーで日本人が世界一を取り始めてからか、日本がもう一度開国したかのように世界との距離がぐっと近くなった気がするんだ。もちろんSNSの活躍もあってね。
日本人の完璧主義がライダー達を素晴らしいものにしてるようなところはあるよね。BMXパークなんかは特に。
パークで言ったら9歳の子供ですらクレイジーなライディングをみせて世界から評価される時代だけど、日本のアンダーグラウンドなストリートシーンももう少し評価されても良いと思うんだ。
間違いなく日本には素晴らしいアンダーグラウンドなストリートシーンがある。
これは僕が隠居JAMなどに行って実際そう感じたし、間違いないと思ってる。
だから欧米の人達にはもっと、日本に来てもらってそれを肌で感じてもらう必要がある。
M : 日本にいる間、それも注力したい事のひとつ?
P : そうだね。ここにいる間は常に僕の能力を活かして、世界に発信して日本を盛り上げていきたいと思ってるよ。
アンダーグラウンドかもしれないけれど、それでも生きる為のお金は必要だしここ日本から、情熱をもって良いものを作って世界に売れたらいいなと思うよ。
M : まだ時間あるし、BMX以外で食べ物や他の文化についてはどう感じてる?
P : 僕が住んでいたベルリンと比べると、こっちの方がずっと身軽な感じがするよ。
例えばスーパーに行く時やラッシュアワーの電車なんかはいつも少し不安で今までは乗らなかったけど、今回はもう3回もラッシュアワーに乗ってみたら実はそんな大したことでもなかった。
なんでこんなことで人々はストレスを感じてるんだろう?って思ってしまった。とてもシンプルで、みんな礼儀正しくてまるで人並みが整備されているかのように感じる。良くも悪くも。
ドイツ、特にベルリンでの生活はもっと厳しく、より攻撃的で人々ももっと不機嫌だよ。
でも日本にはこの荒々しさや厳しさに対処する為の場所や方法がたくさんあって、落ち着いて物事を考える時間が増えたと思う。
全体的にみてドイツにいる時よりも自分自身、幸せな気がする。
食べ物で言ったら特に納豆。最初はスライムでネバネバになったクモの卵みたいに感じたけど、これがすっごく美味しいんだよね。
M : 毎日一緒にランチしてるけど、本当に納豆大好きだよね(笑)
P : その他もろもろ。でも二度と食べたくないのは馬の生肉だけかな。2016年に来た時、Kenが何も言わずに僕に食べさせたんだよね。
あれはひどかった。。その姿みて爆笑されたし(笑)
まぁでも全体的に日本はリーズナブルだし、文化が多様だからいつも自分の道を見つけられる。居酒屋のスタイルは特に好き。
美味しいご飯を食べて酒を飲んだりタバコを吸ったりできる居酒屋がまだあるんだ。そしてみんな親切で、尊敬できる人たちばかり。
だからなのか、日本での生活はとても楽で、自分が集中したいこと、あるいは自分の課題などにずっと集中することができるんだ。
特にJykKのチームやKenと一緒にいる時は仕事に没頭できてとても楽しい。
M : 日本を一言で表現するなら?
P : 一言で?ん〜、リッチというかジューシーというか。
M : ジューシー?
P : そう、ジューシー。とてもジューシー。食べ物の話になるけど、東京の「店の規模は小さいけど、こだわりがあって美味しいレストラン」の多さは、クレイジーだよ。どこへ行っても美味しいし、店員さんも親切。
サブカルチャーでいったら時にクレイジーなほど、奇妙なほどジューシーだね。
例えば、土曜日に代々木公園に行くと、アメリカンロカビリーの漫画版みたいな人達が入り口に陣取っていて、音楽を楽しんでいる。
日本でサブカルチャーを求めるとそこにはたくさんのレイヤーがある。薄いレイヤーがたくさんあって、それが止まらない。
アンダーグラウンドなストリートシーンももちろんそれの一つだね。
日本はまるでクロワッサンのようで、幾重ものレイヤーをどこまでも味わい続けることができる。
M : 最後に何か一言ある?
P : ここ日本で多くの人に出会ってあらゆることに深く関わり、そして僕が関係している人々や文化に貢献できれば嬉しく思うよ。
だから何かアイデアやプロジェクト、私がお手伝いできることがあればいつでも相談してほしい。何でも喜んで聞くよ。
このJykKの皆と周りにいる人達で一緒に、未来に何か大きなものを仲間や文化のために残せたら良いなと思ってるんだ。
自分たちがやる、自分たちで創る。そして、その文化をよく理解していない人たちや、文化の一部が欲しいだけの人たちがそれを作る事はできないし、左右されることもあってはいけないと思う。僕たちには色々な意味で資源があって、力を合わせればより強く、より良くなれるから。
未来は君の手の中に、っていうか僕たちがハンドルを握るべきだと思うんだ。
だから、とりあえずやってみよう。ありがとう!
ドイツ語と英語はもちろん、日本語も現在勉強中ですので、イベントや街中で見かけたりしたら声をかけてみてください〜。Masa